バラの病気・害虫対策

梅雨や猛暑の黒星病はどうする?

普段はまったく黒星病(黒点病)がでない、限りなく無農薬に近いアトリエの庭。けれど梅雨入りして1週間以上も雨が続くと、バラの元気がなくなって土中の病原菌がいっきに広がります。

バラにとっていい気温とは?

気温21℃ぐらいで開花させたバラが最も色、形が美しくなるといわれています。これを越えてくるとバラの花色が弱まり、花弁が減ったり、小型化したりと形状にも変化が。人も暑すぎると身体がバテてしまいますがバラも同じですね。

黒星病の原因

黒星病の原因となるのは糸状菌というカビです。長時間の水ぬれによって、強風に煽られたりした葉が痛み、クチクラ層の壊れた箇所から糸状菌が侵入し罹患します。鉢などをマルチングして一度も下からハネないようにしても、直接、葉が濡れると黒星病に罹患することが多く、なかなか防ぎにくい病気です。

黒星病のでる条件 – 気温と湿度

私の経験から感じている、黒星病のでてくる条件を書きだしてみました。

  • 気温23℃以上+終日の雨(5時間以上)
  • 風通しが強く、西日が当たる場所
  • 風通しが悪く、日があたらない場所

黒星病のでる条件 – 風とおしと陽あたり

照り葉の現代バラは、表面がコーティングされている状態なので黒星病に強いですが、あまりに風とおしが良すぎて枝葉が打ちつけられるほどだと、その痛んだところから黒星病が広がってしまいます。また、西日のつよい場所にあるバラは、半日蔭に植えた場合と比べて黒点病にかかりやすいです。葉の柔らかい(照りのない)バラは、なるべく西日にあたる場所に植えるのを避け、陽当たりのよい場合は遮光するなどケアが必要です。

風とおしが悪くて陽が当たらない場所のバラは、そもそも黒星病やウドンコ病以外にも、カイガラムシなどにも狙われやすく、花も咲きにくいので植え替えるか、ツルバラのように枝を高く仕立てて陽当たりや通気を確保できるよう工夫しましょう。

黒星病のメンテナンス

1枚でも黒星病がでていれば、すでに株全体にでていると考えられます。元気そうにみえる他の葉や枝にも蔓延しています。基本的に、殺菌剤を散布して発症を防御します。たくさん黒星がでていても、全体的にまだ緑色をしている場合はそのまま光合成させてあげます。黄変した葉は後々落葉するので5枚葉ごと摘み取ります。

黒星病が蔓延した場合

黒点病が蔓延してしまった場合は、思い切ってすべての葉をとってもしまうことも。過酸化水素水を100倍に希釈したものを株に吸わせ除菌処理を施して、落ち着いてきたら液肥を与えて様子をみます。葉が一枚もなくなっても、バラの株はとても丈夫です。根詰まりや根腐れを起こさなければ、きれいな葉が復活します。

週1回、ハイポネックスの1000倍希釈液を葉へスプレー散布して株に体力をつけさせます。ハイポネックスの葉裏散布は本ではあまり紹介されていませんが、観葉植物などにも効果があるのでぜひ試してみてください。

薬剤よりも体力づくりが予防に

バラの教本ではルーティンの薬剤散布を推奨していますが、薬剤に効果を感じないことがあり、私はある時に全部辞めてしまいました。同じ庭の隅でハーブや果樹も寄せ植えているため、基本的にバラもオーガニックで育てています。いろいろやってみた結果、普段は抗菌剤を散布するかわりにたっぷりと栄養をあげ、病気に勝つバラの体力づくりに重点を置いています。

大輪のため蕾の成長時に体力を使い切りやすいバラは、蕾があがってきた段階で追肥をします。緩効性の有機肥料を与え、不足しがちな栄養を葉まで行きわたらせるようにします。四季咲きのバラや繰り返し咲きのバラも、しょっちゅう花を咲かせるために体力不足に陥りがちです。病気がでてきたなと思ったら、追肥をしてみてくださいね。

液肥は、朝の水やりの後に根もとを中心に軽く与えています。黒星病の葉をとってしまってボウズになったバラの枝でも、1週間ほどで新芽があがってきますし病気が出にくいような気がしています。

バラの性質をよくみて植え方の工夫を

残念ながらイングリッシュローズは総じて黒星病に弱いです。中でも強いと言われているアンブリッジ・ローズでさえ他の耐病性の強いバラと比較すると普通程度の耐病性に感じています。涼しい気候のイギリスで育種された品種にとって、日本の猛暑は過酷な環境なのでしょう。耐暑性が弱いバラを半日蔭に植えたり、鉢植えにして動かせる環境で育てることで、株への負担が軽減や病気が出にくくなる工夫をしています。

黒星病は土壌菌なので手を尽くしてもなかなかゼロにはなりません。美しいバラ、繊細なバラほど病気に弱かったりします。黒星病は株ストレスのバロメータ。ご自分のバラをよく観察して、株と対話してみてくださいね。

 

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