バラの病気・害虫対策

葉の夏バテ症状と対策

東京の夏は湿度も気温も高く、熱帯夜が続きます。人も夏バテ気味で涼しい室内にこもりがち。でも庭バラは陽にさらされて、葉に夏バテの症状が現れます。

夏バテ=高温障害のサインとはどんなものか?症状と対処方法をご紹介していきます。

症状:高温障害で葉が委縮する

陽射しの強さの割に灌水が足りず、葉が縮れています。白点がでている部分より先への水分が届かず、葉の成長が阻害された結果、縮れが起きます。また、ケイ素不足で葉の縮れがでてしまった場合は、有機性の追肥をしてゆっくりと回復を待ちましょう。裏側に虫がいた場合は別の原因ですので、葉裏チェックもしておきます。(虫の場合は一か所ではなく広範囲にでやすい)

高温障害による黄斑、カサつき症状

新芽に黄緑の斑点がでたケース。葉の火傷症状です。トキンイバラや四季咲き品種(紫枝)の一部で見つけました。葉に照りがない、薄くて柔らかさを感じる葉タイプです。鉢植えの場合、日陰に移動させると新葉は元の深緑色の葉がでてきます。地植えの場合は全体の成長が阻害されていなければ、朝晩の水やりさえしっかりあげていれば放置していても株に影響はありません。株が弱ってしまった場合は保護が必要なので、灌水に加えて寒冷紗で日中の陽射しを遮ってください。なお、変色した葉は摘みとらないでおきます。暑さがおさまれば元の葉色に戻ります。(焼けすぎた場合は新しい葉がでてから摘みます)

退色・黄変・落葉する症状

水切れや栄養過多が原因です。水枯れの場合、黄変は葉の縁(外側)からダメージがでていたり、黄変している葉が枝の根本付近に見つかるのが特徴です。こういう葉があった株はたっぷり灌水してあげましょう。また、液肥や農薬は熱変によって葉にダメージを与えやすいので、猛暑の時は水やりだけにしておきます。黒星病と違い落葉したものから病気も広がらないので、もし落葉したとしても自然に任せていいのです。

  • 地植えの場合、葉の黄変は水枯れや熱風による痛みが原因と思われます。すぐに地面にたっぷり水をあげてください。熱風は寒冷紗などで覆うなど手立てを講じられる場合はよいですが、できない場合はこまめな水やりで対処します。
  • 鉢植えの場合、葉の黄変は肥料のやり過ぎが原因と思われます。夏場は日陰に鉢を置き、肥料を控えて休眠させてあげましょう。水やりはたっぷりとあげ、表面の土が乾いてきたら次の水をあげるようにし、土が濡れっぱなしにならないよう気を付けてください。

高温障害になりやすい品種

障害がでている品種にはいくつかの傾向があります。


耐寒性に重きがあるバラ
イギリスの有名グロワー、デビット・オースチンのバラやオールドローズの一部に、暑さに比較的弱い傾向が見受けられます。暑さに弱い品種は半日蔭に植えるなど、遮光できる工夫でカバーできます。

四季咲き性のバラ
蕾の成長で体力を失いやすいので夏の間は蕾のピンチが必要です。小豆大のサイズになる前に、手で蕾を摘みとってしまいましょう。水が充分いきわたっていると枝の成長に体力が使われ、秋バラの開花が充実します。

小さい葉をもつ品種もたまに夏バテします。すべての品種ではないのですが、葉が日焼けしやすく、特に実を付けているときは体力を落としやすいです。

夏バテの水やりは早朝と夕方に

「夏バテの水やりは控えて肥料を与えない」という説があります。鉢植えの場合は鉢が過熱しやすいため、あえて水やりを控えて株を休眠させる方法なのですが、できれば夏でもバラを楽しみたいですよね。そこで、山野草などで用いる2重鉢という昔からある方法をご紹介します。バラ鉢よりふたまわり大きい鉢を用意し、この中にバラをいれます。鉢と鉢の隙間に砂をいれ、水を灌ぐとバラ側が保冷されるという仕組みです。(外鉢は日陰に置き、陽を当てない)

地植えの株の場合は根は土の下にありますから、鉢と比べるとそれほど加熱しませんし、対処が変わってきます。早朝、そして夕方の涼しい時間帯に水をたっぷりあげるだけ。暑い日中の水やりは絶対にしない、また葉にはかけない。葉にかかると水玉がプリズムとなって葉を焼いてしまうそうなので注意が必要です。

夏バテしづらい環境づくり ~マルチングする~

植栽を増やせない場合や水捌けや通気が欲しい場合はマルチングしましょう。ヤシマットより利便性のよい新素材、ベラボン・プレミアム(フジック社製のアク抜きのもの)が使いやすくてオススメです。夏涼しくて冬暖かい環境&虫除け・雑草除けも兼ねるベラボンなら、粉状なので好きなところに撒いてマルチングできます。土に混ざっいかがでしたかても保水性と通気性が保てるのでバラに向いている資材です。

夏バテしづらい環境づくり ~宿根草を植える

株元に30cmほど密集して夏場に育つ宿根草を植えましょう。株に直接陽ざしが当たるのを防ぎ、景観もよくなります。バーベナ、バーバスカム、キャットミント(ネペタ・ウォーカーズロウ)、エキナセア、モナルダやセージなど。オススメはユーパトリウム。別名セイヨウフジバカマ、紫色の花は7月~10月まで咲きます。(アゲラタムとは別種ですが、最近ではユーパトリウムは宿根アゲラタムという名前でも売られています)

 

参考になりましたか?
暑い時期はしっかり葉の健康診断をして、秋バラまでの株の体力を温存しましょう!